人工大理石キッチン天板の包丁による傷は、、、心の傷?
我々補修屋のお仕事は、傷を直すのが仕事となりますが、様々な傷を目の当たりにします。
故意というか、そのときの一瞬の怒りでパンチやキックして穴があいてしまったり、はたまたペットのおしっこや粗相による不慮の事故によるものであったり、、、。
しかし、キッチン天板の包丁による傷は、当事者になかなか心に深い傷を残してしまいます。
このような包丁による傷を初めて見た時は、えげつない怖い感覚を覚えましたが、何回も見るようになった今はあまり何も感じなくなってしまっています、、、。
今回は、そういう内容の記事となります。
キッチン天板に包丁の傷がついてしまう原因
先日、戸建住宅へキッチン天板の人工大理石の傷補修へ行ってきました。
白く綺麗な、ほぼ新築の建物の手前には、車が6台ぐらい駐車できる位の広い敷地がありました。
実際の駐車場は2台位で、後は芝生を敷いてブランコがあるような絵に描いたような素晴らしいお宅でした。
朝現場へ着くと車をそこへ駐車させていただき、玄関ドアまで歩いて行く時に、幼稚園生くらいの娘さんがそこで遊んでいました。まだまだ人見知りなのでしょう。挨拶をしたくても恥ずかしくてまだできない感じの表情で出迎えてくれました。
おうちに入ると、親御さんとも同居しているのでしょう。じいちゃんばあちゃんを含む3世代が賑やかに暮らしている感じがしました。
もちろん依頼主はそこの奥さんで、明るい感じの方で、お子さんもまだまだ手がかかるようで、朝の支度で忙しそうにされていました。
お問い合わせいただいた時に、電話ごしで「とにかく早く治したいんです。まだ夫にはこの人工大理石キッチン天板の傷の事は言ってないんです。もう見るのも嫌なんで早くこの傷を消したいんです。」という感じでお話しされていました。
朝、奥さんと顔をあわせた時に、第一声で、「今朝みんなに天板の傷の件、告白しました。ぜひよろしくお願いします。」とのことでした。
「そうなんですね。了解しました。全力でがんばります。」
お母さんの子育ての悩み、苦悩を垣間見ました
数時間後、キッチン天板のキズ補修が完了し、奥さんにご確認いただいたときには、もう他の家族全員は日曜だったので、外に出て遊びにいっておられ、私と奥さんと2人でした。
すると、奥さんが色々とお話をしてくださいました。
「いや、本当にありがとうございました。あの傷を見る度にあの瞬間のことを思い出して胸が痛かったんです。いくら子育てや生活で腹が立つとしても、包丁でキッチン天板を傷つけるなんて、自分自身が情けなく思えて、子供に対しても本当に申し訳ないと思うんです、、、」
今まで何回もキッチン天板の人工大理石包丁の傷を直してきましたが、ここまで傷つけたことを反省されているお客さんは初めてでした。
確かにお問い合わせをいただいて写真を見た時点で、怒りに任せてやってしまったんだなぁとは思いますが、ここまで反省されていることを聞くと、やはり人によっては、ただの傷ではなく、心の奥深くに傷として残っているのだなと改めて感じました。
まとめ
この仕事をさせていただき、壁穴やドア・パンチ穴やキック穴、いろいろな修理をさせていただきますが、それぞれ心の傷を皆さんお持ちなんでしょう。
皆さんそこまでお話しされないことが多いですが、それぞれの傷に、それぞれのドラマがあります。
ふと思い出しましたが、ペットがかじったり、ひっかいたりした傷を修理することも多いんです。そのドアやドア木枠、または巾木を直しに行く時も、「実はもうペットちゃんが亡くなっちゃったんで」と聞かされる時もあります。
お客さんが直そうと思う時のタイミングは、その方、人それぞれだと思いますが、それぞれの傷にそれぞれの想いがあるんですね。
わかってはいましたが、今回はもう一つ深く知ることができたような気がしました。
その傷できる限りなかったことにします。
部材の材質によってどこまで直せるのかはそれぞれですが、これからも一つ一つ丁寧に直し、ご満足いただけるよう頑張っていきたいと思います
よろしくお願いいたします。